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紛争地でのリーダーは看護師
すべての職種と対等な立場でかかわる

悠翔会在宅クリニック柏 医師

渡瀨 淳一郎

プロフィール

出身大学 大阪大学医学部
専門(学会等) 日本救急医学会認定救急科専門医、日本外科学会認定登録医
主な経歴 大阪赤十字病院救命救急センター・国際医療救援部

私にとっての悠翔会のワークスタイル、3つのポイント

①「かかわったすべての人を幸せに」という理念に共感できる
②雰囲気がよく、優しい人たちと働ける
③ゆとりのある勤務形態

悠翔会在宅クリニック柏に2021年から勤務する渡瀨医師は、これまで、東日本大震災や熊本地震、南スーダンやイラクなど、国内外での医療支援に取り組んできました。多職種との連携が必須の在宅医療においては、紛争地で看護師をチームリーダーとして活動してきた経験が生きています。社会的弱者という意味では、途上国の人たちも、日本で病院医療を受けられない人も同じと考え、在宅医療の道を選びました。

悠翔会入職前について教えてください。

私は25年程、救命救急センターで救急科の専門医として勤務してきました。悠翔会に転職する前の6年間は、大阪赤十字病院救命救急センター及び、同院の国際医療救援部に所属し、普段の救急医としての仕事のほかに、年に3~4ヵ月は発展途上国で医療支援を行ってきました。

もともと、途上国での医療支援をしたいというのが医師になろうと思ったきっかけでした。卒業後、国際医療支援の機会を模索してきましたが、主だったチャンスがないまま20年以上が経っていました。東日本大震災、熊本地震など、国内の緊急災害支援にはかかわってきましたが、国際支援のために長期間病院を留守にするのは、やはり現実的ではなかったのです。2014年から勤務した大阪赤十字病院で国際医療救援部の配属となったことで、長期間の海外医療支援ができるようになり、長年の夢がようやく叶いました。ウガンダでの途上国外科医療支援や、南スーダン、イラク、レバノン、パレスチナ・ガザ地区などの紛争地域での戦傷外科支援に携わり、戦争犠牲者の治療にあたってきました。

なぜ在宅医療に興味をもったのでしょうか。

日本の病院にはスタッフも医療機器も備わっており、病気を治す施設、言い換えれば生きるための施設としては、世界でもトップクラスです。一方、約7割の日本人が病院で亡くなりますが、病院は生きるための施設として最高だとしても、尊厳ある最期を迎える場所として最善なのか、という葛藤を長年抱えていました。足腰が弱って病院に行けなくなった方の尊厳ある最期のお手伝いをすることは、非常に意義深いことではないかと考えたのが、私にとって在宅医療という選択肢が生まれたきっかけです。

「海外での支援を志望していたのに、なぜ今日本なのか」、と時々聞かれます。国際支援をしたいと考えたのは、海外には日本のような医療資源に恵まれない人々が数多くいるからです。しかし、日本で病院に通えない方々も同じく、弱い立場の方々であることに変わりはないのではと思うに至りました。ですから、私としては、海外でも日本でも、自分がしたいこととして違いはないと思っています。

悠翔会を選んだ理由を教えてください。

悠翔会の「かかわったすべての人を幸せに」という理念に、非常に共感できたからです。当時、悠翔会在宅クリニック柏の院長だった、現パナウル診療所院長の小林真介医師が、偶然にも高校の後輩だったことは、安心感につながりました。

診療ではお一人おひとりのニーズをていねいに探っていく

在宅医療を始めてみて、どう感じましたか。

患者さんもご家族も、思っていらっしゃることがそれぞれ違うということを改めて感じました。当然、希望されることも異なってきます。さまざまなニーズに応えることは大変ですが、逆にやりがいでもあると思っています。

これまでの経験が生きていると感じる部分はありますか。

入職時のオリエンテーションで、在宅医療では、すべての職種が対等な立場でかかわることが求められる、という話がありました。この点は、私は国際医療支援で様々な経験があります。赤十字国際委員会という組織から、紛争地で武器によってけがをした人の治療をするミッションで現地に赴くときは、チームリーダーは原則的に看護師と決められています。周囲の多職種の人々や本人、ご家族とのコミュニケーションのハブとなる人がリーダーを務めるのが、組織として最もスムーズに動けるというのがその理由です。ですから、医師はいわば技術職として治療に専念します。そういったチームを経験してきたので、オリエンテーションでの話はごく自然に受け入れられました。

加えて、医師として在宅医療でかかわる多職種の人と密にコミュニケーションをとることは、最終的には患者さんをより元気にすることにつながるという思いから、日頃から、そこにはかなり時間を割くようにしています。

特にどのようなときに、やりがいを感じますか?

患者さんの最期の時間に携わる在宅医療は、お一人おひとりの診療がオーダーメイドです。お話を聞き、ニーズを探りながら診療を行い、ご本人が納得して最期を迎えられたり、ご家族から感謝の言葉をいただいたりしたときには、わたしたちの医療やケアがしっくりくるものだったのだろうと思え、やりがいを感じます。

南スーダンにて、現地の看護師と共に銃創患者の手術中

悠翔会の働きやすさについて教えてください。

病院勤務時代は救急医の宿命として、当直やオンコールで夜中も週末も働く生活を続けてきましたが、さすがに、悠翔会入職前は体力的な限界を感じ始めていました。入職後は、夜間や休日の対応を当直医に任せ、きちんと休養をとることができています。これは、年齢を重ねた自分にとって大きなメリットであり、医療の質を保てるという意味で、患者さんにとってもメリットだと思います。

悠翔会のよさは2点あり、一つは優しい人が多いこと。もう一つは「かかわったすべての人を幸せに」という、共感できる理念を掲げていることです。この理念に共感する人が集まるから、クリニックの雰囲気が非常によいのではないかと思っています。

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